続・Wuppertal留学日記

2016年10月から2017年3月頃まで、再度留学する機会に恵まれました。前回に引き続き、大学の様子や体験などを書き残していこうと思います。

語学関連の準備に関して

前回留学時は「ドイツ語検定4級」がドイツ語関連で唯一持っている資格でした。3・4級併願で受験したものの3級には落ちてしまっていたのです。ということで、前回はほぼドイツ語素人のような状態で冷や汗をかきながら過ごしていたように思います。結局ドイツ語をコミュニケーションツールとしてまともに使えるようになるまでに半年くらいかかってしまいました。それまではドイツ語に全く自信がなかったように記憶しています。

しかし留学終了時には、Wuppertal大学からB1の修了証書をいただくことができたため、それなりにドイツ語力が向上していたはずです。帰国時には、ドイツ語で会話をすることへの抵抗もなくなっており、「あぁ、ようやく自信がついてきたのにもう帰国か」と寂しく思ったくらいでした。

半年から一年現地で過ごすことができればほぼ確実に語学力は向上します。したがって、語学留学を目的としているのであれば、渡航前の時点での語学力はそこまで高くなくてもよいのではないかと思います。もちろん、準備をしなくても良いというわけではありません。ただ、「語学力に自信がないから...」と尻込みをしてしまうのはもったいないことです。そういう方は、ぜひ留学にチャレンジしてみることをお勧めします。

いざ渡航してしまえば、あとは授業を受けつつ生活していく中で自然とコミュニケーションを取れるようになっていきます。

まず、語学コースを受講すれば各国の学生たちと一緒に手探りでドイツ語によるやり取りをすることになりますので、日本で勉強しているよりも切磋琢磨できる仲間が増えます。また、生活の中でドイツ語を使わざるを得なくなるため、自分の語学力がどの程度のものなのかということが常に試されることになります。そのため、当初はうまく伝えたいことを伝えられずに悔しい思いをすることも多いかもしれませんが、慣れてきてからはうまく物事を伝えることができて楽しく感じられるようになります。いずれにしても、自分の能力に対して即フィードバックが得られるわけです。

...なんだか思い出話めいてきてしまいました。とにかく、語学力だけならば元気さえあれば現地調達できるというのが、私が経験から学んだことです。しかも、それでいて楽しく過ごすことができてしまうのですから、語学留学に興味をお持ちの方は悩む前に行くべきだと思います。興味があるならば絶対に得るものはあります。

 国際交流課の援護射撃はこの辺にして、自分の話に戻しましょう。

 

お気楽なことをここまで書いてきましたが、今回はそう簡単にもいかないのです。研究を進めるためにはまずドイツ語文献をそれなりのスピードで読めなければいけませんし、また人から話を聞くためには会話力も必要です。そんなわけで、留学を決めてから語学関連の準備として行ったことを書いていきます。

・読解力関連

読解力は留学終了時点でも自信がありませんでした。ですので、一人で勉強する気がおきず、ドイツ語担当教員に助けを求めました。授業後の空きコマの時間をいただいて、自主ゼミという形でドイツ語文献・新聞記事などを読み進めました。なるべく自分の研究と関係が深いものを教材として持ち込み、和訳をして先生に直していただくという形を取りました。こんなところで謝意を述べても仕方ないかもしれませんが、先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。

文法や単語力も必要なスキルだと思いますが、自分が主眼を置いていたのは文章にサッと目を通しておおよその意味を理解するような読み方ができるようになることでした。が、そのようなつもりで読んでみたところ、細かい部分で意味を読み違えてしまって全体的な理解が誤っている...なんてことが多々ありました。先に精読スキルを上げることを意識した方が良かったのかもしれません。

そんなわけで、こちらに関しては実のところ未だに自信はありません。

・聞き取り力関連

日本でもなるべくドイツ語を耳に入れるために、webラジオを聴くように心がけていました。私がよく聞いていたのはWDR(Radio - WDR)です。ドイツ西部のラジオネットワークです。前回留学時に聴いていた馴染みがあるという程度の理由ですが、一例としてどうぞ。

また、スマートフォンでも「German Radio」などとアプリ検索をかければあれこれwebラジオアプリが出てきます。無料のものも多いので、いくつか試して使いやすいものを入れておくと通学中などにもリスニング訓練ができて良い感じです。ドイツ語のラジオアプリでは、聞きたいラジオ局を登録しておくような形式のものが多いのですが、リストに載っているいるものの聞くことができない局も多かったりします。そんな中でもWDRは安定して聞くことができたので、スマホでもWDRをよく聞いていました。

ラジオ以外では、ドイツ語映画をよく見に行くようにしたり、youtubeなどでドイツ語のコンテンツを見るようにしたりはしていましたが、この辺りは半分趣味のようなものですので大して訓練になっていなかったかもしれません。

・作文力関連

作文力といっても、実際に文章を紙に書いたりはしていませんでした。普段生活している中で何かあった際に、「これをドイツ語で説明するとしたらなんて言おうか」などと考えてみたり、映画やドラマを見た後に脳内でドイツ語レビューを作ってみたり...といった感じで、ドイツ語で表現するシミュレーションのようなことをしていました。この方法は、実は以前お世話になった先輩から教わったものなのですが、英語を勉強する際に実践してみたところ結構効果があったのでドイツ語でも試してみましたのです。

どうしたらこの方法の効果を適切に測定できるのかわかりませんが、とっさにドイツ語で表現をする訓練にはなったように思います。正確さを鍛えることはできないかもしれませんが、ドイツ語の単語や語順がパッと頭に浮かぶようにはなってきました。今回の留学までに、Wuppertal大学の方とメールでやり取りをする機会があったのですが、割とスムーズに文章を書くことができたように思います。まぁなんというか、正しい文章を書くことができている保証はないわけですが...。

あと、これは誰からも賛同を得られたことがない方法なのですが、脳内で友達とドイツ語会話を行うというのをやっていました。これも会話力向上に役立つ気がします。脳内で友達...といっても脳内に架空の友達を作り上げるわけではないですよ!前回留学時に出会ったドイツの友人たちを思い浮かべて会話をするという感じです。日常生活の中で何かあったときに、「あの人だったらこういう時にこんなこと言いそう。そしたら何て返してやろうか。」とか考えるわけです。完全に会話のシミュレーションといった感じですが、頭の中だけでできる訓練ですので時間や場所を問わずにできてお勧めです。

別に実在する友人じゃなくてもできるといえばできると思いますので、妄想癖のある方は架空の友人と外国語で会話してみるのもアリかもしれません。

・検定試験

上記のようなことをしつつ、今年の夏に改めてドイツ語検定を受けてみました。今回は2・3級併願で、かつてのリベンジマッチのつもりでしたが無事どちらも合格できました。ほとんどは前回留学時に身についたことの成果のような気がしますが、とにかく試験によって語学力の向上が証明されたことで改めて自信がつきました。

特に、リスニングは2級、3級ともに満点をとれたことが非常に嬉しかったです。「一年も留学していれば当たり前だろ」と冷ややかにツッコミを入れられてしまうかもしれませんが、帰国後にはドイツ語を生かす機会がほとんどなかったためリスニング力も衰えているのではないかと不安だったのです。

文法関連の問題や読解は可もなく不可もなくといった点数でしたのでこちらに関しては若干悔しいですが、得意・苦手分野が分かりやすい形で確認できました。