続・Wuppertal留学日記

2016年10月から2017年3月頃まで、再度留学する機会に恵まれました。前回に引き続き、大学の様子や体験などを書き残していこうと思います。

(2016年11月1日(火):晴れ) ボンツアー

今日は先日のケルンツアーに引き続き、第二弾としてボンへ行きました。

ボンは前回歴史博物館を訪れたりして数度来たことがありましたが、今回は自分では行きそうにないところを友人の手を借りて訪れてみることにしました。

まずはベートーベンハウスです。こちらは来たことがありましたが、前回見そびれたものが一つあったので、そちらに行ってみたかったのです。
3Dフィデリオという前衛的オペラの上演をしているそうなので、ほぼそれ目当てでした。
フィデリオ」はオペラのタイトルなのですが、実は私はそもそもこれを見たことがありません。
序曲だけ聞いたことがあるという程度で、ストーリーすらよく知りませんでした。
ところが、ベートーベンハウスの上演ではキャラクターはすべて抽象的な図形で表現されており、またオペラ全編上映ではなくかいつまんでいくつかのアリアを流すという形式だったために、もはや何がどうなっているのかさっぱりでした。解説をしていただいたのですが、その場で聞いてすぐに理解することはできませんでした。

ただ、この3Dオペラの試みの面白さについてはよくわかりました。
観客の前にいくつかの機械が置いてあり、それを触ることでスクリーンに映し出された図形(登場人物)を動かすことができるのです。
この図形が3Dグラスを通して立体的に見えているため、各シーンごとでハイライトされているキャラクターを手前に持ってきたりすれば中々の迫力です。
ただし図形は図形なのでいまいち何がどうなっているのかよく分からない...。
前衛芸術を前にしては私は無力です。

終わってから係の方に、どこからこのアイデアが出てきたのか聞いてみました。
どうやら、ボンの学生たちとの共同作業でこういった実験的なものが出来上がったらしいです。
しかもその学生たちは芸術系ではなく技術系だったらしいので驚きです。
確かに技術的に変わったものがたくさん取り入れられてはいましたが、それよりも表現のされ方に対する衝撃の方が大きかったからです。
単に技術を取り入れるだけならば、歌手を3Dで映して立ち位置を観客が移動させられるという形でもよかったはずです。
あの抽象化の発想はどこから生まれたのか謎です。

そんな芸術体験をしたのちは、計算機博物館にやってきました。
この博物館については、私は存在すら知りませんでした。
この博物館は外観がガラス張りで、まるで美術館のように小奇麗です。
中に入ると、様々な計算機が時代ごとに並べられていました。

最初はそろばんの原型のようなものから始まり、それが徐々にギアを組み込んだ機械になり、タイプライター式の入力装置が現れ、さらには紙に出力されるようになっていく...といった具合に装置の進化を実物を見ながら追いかけていくことができます。
また、この博物館の面白いところは、実際に機械を触ることができるところです。
もちろん、すべてではありませんが、触ってよい装置には特別なマークがついており、また説明書が横に置いてあります。
これを見ながら友人たちと機械を使ってみようと試みたのですが、うまく使えないものが多かったです。
計算方法が独特だったり、装置を使って出力された数値そのものが計算結果ではなく、そこから自分で計算しなければならないものがあったりと、複雑なものが多かったです。
個人的にはENIACのような部屋を覆いつくす装置を見てみたかったのですが、それはさすがにありませんでした。
珍しく理系チックな博物館を見て疲れました。

帰りにビアハウスによって、BonnのビールであるBoennischを飲みました。
前回はこれを飲んだことがなかった気がします。
Boennischはケルンほどクリアな味わいはありませんが、ヴァイツェンを少し甘くしたような感じで濃い味のような印象でした。
甘めなお酒が好きな私は気に入りました。
また、Boennischの特徴は味よりもグラスにあります。
グラスが人間工学に基づいて作られたような握りやすい形になっており、視覚的にも楽しむことができます。
前回渡航時は一人で旅行することがほとんどで、ビアハウスは入りにくかったこともあってあまり来たことがありませんでした。
友人たちのおかげで今回は異なった楽しみ方ができています。

21時頃にはWuppertalに帰ってくることができました。
最近ちょっと遊びすぎている気もしますが、こうして人と会う機会がたくさんあるのは嬉しいことです。